LNG、まとめ買いは安いか 関電より割高な東電・中電

電気料金を押し上げる発電用の燃料費抑制が急務だ。そこで浮上してきたのが、電力会社やガス会社による液化天然ガス(LNG)の共同調達。国主導で再建に取り組む東京電力は燃料調達を他社と統合し、規模を拡大しコストを下げる絵を描く。だが、本当に“まとめ買い”は安いのか。冷静な見極めが必要だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ0801G_Y4A700C1000000/

■たくさん買うほど割高に?

政府はLNG共同調達によりコスト削減をめざしているが……(上越火力発電所のLNGタンク)
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政府はLNG共同調達によりコスト削減をめざしているが……(上越火力発電所のLNGタンク)
 電力会社の経営者にとって、値上げほど嫌なものはない。公益企業としての責任が問われることに加え、審査の過程でふだんは明らかになることはない経営情報が白日の下にさらされるからだ。

 燃料費もその一つ。東日本大震災以降、これまでに東電など電力会社7社が値上げを申請し、認可されている。この過程で各社がLNGをいくらで買っているかが明らかになった(LNGを使っていない北海道電力を除く)。ここから興味深い事実が浮かびあがる。

 ▼2013年6~8月に日本に到着したLNGの平均単価(通関価格)は1トンあたり8万2406円。この期間に中部電力が購入したLNGは同8万3938円(スポット取引を含む)。全体平均より1532円、約1.9%高かった。

 ▼東電が値上げの申請段階で14年度までの3年間のLNG価格として料金原価に織り込んだ額は、12年1~3月期の日本の調達実績の平均価格より1168円(申請時の記載は米ドル)、約1.7%高かった。

 ▼関西電力は申請段階で、15年度まで3年間のLNG価格を日本全体の実績より1175円、1.6%低く原価に織り込んだ。12年7~9月の調達価格の実績は、スポット取引分は日本全体の平均を上回るが、調達量の8割を占める長期契約分に限れば日本の平均より17%安い。

 東電のLNG調達量は日本最大となる2525万トン(13年度)。中部電力が1369万トンで続く。原子力発電への依存度が高い関電の輸入量は850万トンだ。実績を見る限り、たくさん買うから安いわけではない。むしろ、たくさん買うほど割高だとも言える。

電力3社のLNG調達価格(単位:円/トン)
料金原価への折り込み価格
(対象期間) 全日本の平均通関価格
(対象期間) 折り込み価格は全日本の
平均実績と比べて
東京電力 68717.33(875.38ドル、
2012~14年度) 67549.25(860.5ドル、
12年1~3月) 1.7%高い
関西電力 70666(13~15年度) 71841(12年7~9月) 1.6%安い
中部電力 85112(14~16年度) 82406(13年6~8月) 3.3%高い

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